【メフィスト賞】記憶の果て

父が自殺した。突然の死を受け入れられない受験生・安藤直樹は父の部屋にある真っ黒で不気味な形のパソコンを立ち上げる。ディスプレイ上で裕子と名乗る女性と次第に心を通わせるようになる安藤。プログラムにしかすぎないはずの裕子の記憶が紐解かれ、浮上する謎。徹底した方法意識に貫かれたテクストが読者を挑発する、第5回メフィスト賞に輝くデビュー作。

 

第5回のメフィスト賞受賞作。高校卒業後の18歳男子が、パソコン上で「裕子」と名乗る女性と出会い、次第にひかれていく。彼女はいったい何者なのか?

終始一人称で話が進み謎が解ければ解けるほど、主人公の世界も人間関係も壊れていく。一方で主人公は自分と直接関係ない、確かめようのない謎についてはさして興味もなく謎のまま放置される。

人工知能、裕子誕生の謎、鬱々とする主人公と複数軸で話が構成されているものの、そのどれもがスッキリしないまま終わってしまい、なんかもうちょっと無いのかよ、といったモヤモヤが残りました。でもこれも青春といえば青春なのでしょう、ひたすら暗いというだけで。

しかし「徹底した方法意識に貫かれたテクストが読者を挑発する」??どゆこと??

話のテンション、作者の意図ともに自分にはクリーンヒットとはいきませんでした。不完全燃焼読書です…、残念。

 

あと全く個人的な気づきですが、自分はリストカットがメチャクチャ生理的に受け付けないということを再発見しました。別に残酷描写がダメなわけではなく、首が飛んでも頭が割れても腹が裂けても全然大丈夫なのですが、リストカットだけは全然だめ。気持ち悪くなって物語に没入できなくなります。これなんなんでしょうね?