【メフィスト賞】ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ

《あかずの扉》の向こう側に――本格推理の宝物がある北澤大学新入生のぼく=二本松飛翔(かける)は、サークル《あかずの扉》研究会に入会した。自称名探偵、特技は解錠などクセ者ぞろいのメンバー6人が、尖塔の屹立(きつりつ)する奇怪な洋館“流氷館”を訪れた時、恐るべき惨劇の幕が開く。閉鎖状況での連続殺人と驚愕の大トリック! 本格推理魂あふれる第12回メフィスト賞受賞作。(講談社文庫)

 

第12回メフィスト賞受賞作。第10回はKindleで出ていない、第11回はあらすじを見て手が出なかったので2作飛ばして本作にチャレンジしました。

大がかりな建物トリックや二転三転する推理といわゆる「本格派」ミステリーというやつでしょうか。リアリティよりも書きたいものを詰め込んだぜ!!という若気に満ちたデビュー作ですね。

しかし個人的にはもうきつくてきつくて…。

・導入がきつい:ただの大学のサークルに無関係な一般人が事件の相談にやってくる導入にはさすがに無理がある。

・登場人物がきつい:ホームズ役が二人いるのは面白いけれども、その周りのワトソン役がきつい。全然好きになれなかった。ただこの辺は完全に個人の好みなのでしょうがない。 

・動機に無理がある:事件の発端となるいじめの問題、リアリティがあまりにもない。ただ本作はトリックが第一であって動機やらなんやらは二の次なので、これに関しては意図的かもしれない。

・文章が散漫:全くうまく説明できないけれど、なぜか全然文章が頭に入ってこない…。序盤の舞台設定の情報量が多くて続き物の2作目から読み始めたような違和感を感じてしまい、乗り切れないまま最後まで行ってしまいました。なぜでしょう?

全然ほめなかったけれど、シリーズものになっていて熱烈なファンも多い作品みたいですね。しょうがない、こればっかりは相性の問題だ。

ただ恐ろしいのは、歳をとったせいで大学生がキャッキャしている作品を素直に楽しめなくなっている…なんて訳ではないですよね。違いますよね、怖い怖い。