【メフィスト賞】ダブ(エ)ストン街道

あの、すみません。ちょっと道をお尋ねしたいんですがダブ(エ)ストンって、どっちですか?実は恋人が迷い込んじゃって……。世界中の図書館で調べても、よく分からないんです。どうも謎の土地らしくて。彼女、ひどい夢遊病だから、早くなんとかしないと。え?この本に書いてある?!あ、申し遅れました、私、ケンといいます。後の詳しい事情は本を読んどいてください。それじゃ、サンキュ、グラッチェ、謝々。「今、行くよ、タニヤ!」

 

第8回の受賞作。最近はドロドロした重めの作品が続いていましたが本作はフワフワのユルユルです。

どこにあるのか、どうやっていくのか、そもそもほんとは何て名前の島なのか、そんな訳の分からないダブ(エ)ストン島を舞台に、主人公は恋人を、郵便配達人はポストを、駅伝ランナーたちはゴールを探している。

あらすじを聞かされても面白くもなんともないですが、実際に読み始めると独特な文体もあって一気に最後まで読めてしまいます。こういう起伏のないストーリーでも最後まで行けちゃうのは実は隠されたテクニックがあるんでしょうね。素人だから全然わかりませんが。

自分はこの本を移動中の新幹線で読みましたが家で読むより本の雰囲気とマッチして、その分プラス評価になっているのかも。まぁその出会いのタイミングも含めてよい本でした。オススメです。

 

ダブ(エ)ストン街道 (講談社文庫)

ダブ(エ)ストン街道 (講談社文庫)