【メフィスト賞】QED 百人一首の呪

百人一首カルタのコレクターとして有名な、会社社長・真榊大陸が自宅で惨殺された。一枚の札を握りしめて……。関係者は皆アリバイがあり、事件は一見、不可能犯罪かと思われた。だが、博覧強記の薬剤師・桑原崇が百人一首に仕掛けられた謎を解いたとき、戦慄の真相が明らかに!?

 

第9回、メフィスト賞の受賞作です。百人一首を題材にしたミステリー、かと思いきやむしろメインは百人一首そのものの蘊蓄でした。

百人一首を個々の歌としてではなく全体を法則性のある歌織物として並べるという発想は先人によって提唱されたもののようですが、それに作者のアイデアを取り入れ改良したのが本書の骨子です。正直、先人の説との優劣をつけることはできないのですが(そもそも自分が無知なので)少なくとも作者の熱は感じますね。

ミステリーの方はあくまでも百人一首の自説を世に出すための手段といった感じでした。トリックはまぁなるほど、探偵役もワトソン役もまぁこれ位のキャラで、と百人一首の謎解きと比べるとあっさりめですね。

百人一首という共通項があるものの2つの謎はそれほど絡み合うわけでもなく、一つのごはんの上に牛肉と鰻を乗せてうな牛だ!!といって売り出しているようなものでした。

最後がすきやの悪口みたいになってしまいました。美味しいですよね、すきや。

 

QED 百人一首の呪 (講談社文庫)

QED 百人一首の呪 (講談社文庫)