【メフィスト賞】Jの神話

 全寮制の名門女子高の生徒が子宮から大量出血して死に、いたはずの胎児が消えた。同じように変死した卒業生の姉、謎の言葉「ジャック」を遺し塔から身を投げた少女――桜の園に封印されたおぞましい記憶!陰惨な檻と化した学園で女探偵《黒猫》と1年生の優子に魔手が迫る。女に棲む“闇”を妖しく描く衝撃作!

 

第4回受賞作ですが、今回も飛ばしてますね。

全寮制のミッション系女子高に入学した主人公。初めは不安だったけど素敵な先輩と友達に出会ってドキドキの新生活が始まるの!と思っていたら百合ものになりミステリーになり女探偵アクションになりパラサイトイブになり最後は新世界の神になりました。すごいぞ。

これまでの展開を最後でひっくり返すストーリーでは、ベースとなる世界観がしっかりしていればしているほど最後の衝撃が引き立つと思いますが、そういう意味ではこの作品のベースは百合メインのミステリーですね。実際、30代おじさんである自分としてはミステリーはそっちのけで「ちょっとちょっと、もう、そんな、若い娘がけしからんよ~」と思いながら読み進め、最後のオチで「百合じゃなかったんかい!」と憤慨しました。

自分のなかにこんなにも百合ものを求める気持ちがあったなんて、新たな発見です。

 

乾くるみといえばJの神話以降も数々のヒット作を書いているようですが、こんなに色々つめこんでも最後まで読ませるのはやはり作者の力なのでしょう。他の作品も読んでみようと思います。

Jの神話 (文春文庫)

Jの神話 (文春文庫)