【メフィスト賞】コズミック 世紀末探偵神話

『今年、1200個の密室で、1200人が殺される。誰にも止めることはできない』――1994年が始まったまさにその瞬間前代未聞の犯罪予告状が、「密室卿」を名のる正体不明の人物によって送りつけられる。1200年間、誰にも解けなかった密室の秘密を知ると豪語する密室卿の招待とは何か。JDC(日本名探偵倶楽部)きっての天才にして、名探偵をも超越したメタ探偵・九十九十九が挑む!

 

第2回、メフィスト賞受賞作。第1回受賞作の「すべてがFになる」が完成度の高い本格ミステリーだったのに対し、こちらはミステリーファンが激怒するかあきれ返るか本を壁に投げるか、そもそもミステリーなのか?とにかくもの凄く尖った作品です。

以下、ネタバレあり

 

まず冒頭からポンポンと人が死んでいきます。密室卿の予告通り(広い意味での)密室殺人が次々と、リズミカルに続きます。何しろ1年で1200人が殺されるのだから1日で3、4人のペースです。もうこの辺りで真面目に読むことが出来なくなってきます。

次に探偵たちが登場しますが、これもすごい(褒めてますよ)。必要な手掛かりがそろうと、一瞬にして真相を悟ってしまう神通理気、女の勘から核心に迫るファジイ推理、酒を飲んで自らの潜在意識からの天啓を待つ潜探推理、必ず核心を外す超迷推理…。「僕の考えた最高の探偵」みたいなのが次々と登場します。もう好きにしてくれ。

そして衝撃的な事件の結末。

 

犯人は松尾芭蕉卑弥呼曹操です。

 

……凄い。あまりにも突き抜けた力技を見せつけられてこちらの語彙が死にました。感動なのか脱力感なのか、とにかく初めての読書体験ではありました。

でももう二度と読まない気もするな…。